ブログ
2025/12/14

6つ目の爆弾。日常トラブル(民泊・ペット・騒音・EV充電など)

「生活そのもの」がぶつかり合う、一番しんどいゾーン

ここまで、

  1. ①修繕積立金が足りない

  2. ②理事のなり手不足・高齢化

  3. ③老朽化・空室増加・準スラム化リスク

  4. ④会計不正・管理会社トラブル

  5. ⑤建替え・長寿命化の合意形成

と、“マンションの構造的な問題”を見てきました。

最後の⑥は、もっと身近で、もっと感情に刺さる話です。

 民泊・ペット・騒音・EV充電――
 日々の生活習慣や価値観がぶつかるトラブル

大規模修繕よりも、建替えよりも、
実は多くの人を消耗させているのがここです。

今日は、

  • ・それぞれの典型的なモメ方

  • ・法律や標準管理規約がどう整理しているか

  • ・「感情論になる前に」やっておきたいこと

をブログとしてまとめます。


1. 民泊トラブル:「合法」でも「マンション的にNG」がありうる

何が起きているか

  • ・見知らぬスーツケース客が、夜遅くに出入り

  • ・エントランスにタクシーがずっと路駐

  • ・ゴミ出しルールが守られない

  • ・セキュリティへの不安(オートロック突破・共用部撮影など)

「民泊」は住宅宿泊事業法で制度化され、
年間180日以内なら“届出制”で運営できます。イエウリ+1

でも大事なのはここ。

 法律上OKでも、マンションとして許すかどうかは別問題。

国交省の民泊ポータルでも、
「分譲マンションは管理規約で民泊を禁止することができる」
と明記されています。国土交通省+1

さらに、

  • ・「専ら住宅として使用する」だけでは、
     民泊の可否が分からないので、
     民泊を認めるか・禁止するかを明記すべき
     という考え方が示されています。公益財団法人マンション管理センター+1

対応のポイント

  1. 1.まず規約を確認する

    • ◦民泊可・不可の条文があるか

    • ◦「宿泊料をとって人を泊める事業」を禁止しているか

  2. 2.グレーなら、“どちらかを選ぶ”改正が必要

    • ◦「トラブルが出てから考える」では遅い

    • ◦許容するなら、

      •  ▪事業者の登録・連絡先の届出

      •  ▪清掃・ゴミ・騒音・人数制限
         などの細則を作る

    • ◦禁止にするなら、

      •  ▪住宅宿泊事業・簡易宿所などを含めた
          “宿泊サービス”をまとめて禁止する文言にする

  3. 3.違法民泊への対応フローを決めておく

    • ◦①口頭・書面での是正要求

    • ◦②管理組合名義で内容証明郵便

    • ◦③必要に応じて行政(保健所・自治体)へ通報

「怪しい部屋があるのに、
どうしていいか分からない」が一番ストレスです。

先にルールと“動き方”を決めておくことが、
住民の安心につながります。


2. ペット問題:「可か不可か」より「ルールの具体度」で決まる

典型的なトラブル

  • ・エレベーター内でノーリード

  • ・共用廊下での排泄放置・におい

  • ・鳴き声・足音・臭い

  • ・「本当は飼ってはいけない大きさ・頭数」なのに放置

最近の規約見直しでは、
ペットについては単に「可/不可」ではなく、

  • ・種類

  • ・大きさ・体重

  • ・頭数

  • ・共用部での移動方法(抱く・ケージ・リード)

などを具体的に定める動きが増えています。MIJ+2神奈川県公式サイト+2

対応のポイント

  1. 1.「黙認」状態をやめる

ペット禁止なのに、
「昔から飼っている人がいるから…」と放置すると、

  • ・新規飼育が増える

  • ・注意しづらくなる

  • ・「言った者負け」の空気になる

禁止なら禁止
条件付きOKなら条件付きOKと、
まずはルールを“今の実態”に合わせて書き換えること。

  1. 2.飼育者登録制にする

  • ・頭数

  • ・種類・大きさ

  • ・ワクチン接種状況

  • ・緊急連絡先

等を登録してもらうだけでも、
“見えない不安”はかなり下がります。

  1. 3.苦情窓口と対応フローを決める

  • ・管理会社を窓口にするのか

  • ・理事会に直接なのか

  • ・匿名の投書はどう扱うのか

「一番近い住户が直接注意する」構図は、
関係が壊れやすい最悪パターンです。

 ルール+窓口+段階的な対応
 セットで作っておくと、
 個人同士のケンカを減らせます。


3. 騒音問題:「構造 × 生活音 × マナー」の三重奏

何がモメるのか

  • ・上階の足音・子どもの走り回る音

  • ・深夜のテレビ・楽器・カラオケ

  • ・廊下での立ち話・電話・来客の騒ぎ声

ここは法令よりも、
建物構造と生活スタイルの問題が大きいです。

最近の規約改正や管理会社のコラムでは、

  • ・楽器演奏時間帯の明確化

  • ・床材の遮音等級(例:LL-45等)の指定
    など、具体的な基準を定める例が増えています。MIJ

対応のポイント

  1. 1.「静粛義務」は抽象ルール、“補助線”を具体的に

多くの管理規約には

 「他の居住者の迷惑となる騒音を発してはならない」

といった条文がありますが、
これだけだと運用が難しい。

だからこそ細則で、

  • ・夜○時〜朝○時は洗濯機・掃除機は控える

  • ・楽器は○時〜○時のみ・防音対策前提

  • ・子どもの足音対策として防音マットを推奨

など「行動レベル」のルールを補強してあげると、
注意もしやすく/されやすくなります。

  1. 2.構造的に厳しいマンションは、期待ラインも調整する

築年数が古く、
もともとの遮音性能が低いマンションでは、

  • ・「完全な静寂」は物理的に無理

  • ・木造並みの音環境のところもある

こういう場合、
理事会が一度専門家(建築士など)に
遮音性能の現状評価を出してもらい、

 「このマンションで実現できる“静かさ”はここまで」

という“現実ライン”を住民と共有するのも一つです。

  1. 3.苦情対応は「両者の事実確認」から

  • ・どの時間帯に

  • ・どのくらいの頻度で

  • ・どんな音がするのか

を、感情ではなく「記録」で確認すること。

  • ・騒音日誌

  • ・スマホの簡易録音

などをもとに、
まずは管理会社・理事会が“事実”を整理してから動くと、
感情的なこじれをかなり防げます。


4. EV充電設備:「将来の標準」と「今の公平感」のぶつかり合い

何が起きているか

  • ・「EVを買ったから、駐車場に充電器をつけてほしい」

  • ・「まだ乗らない人がほとんどなのに、なんで費用負担を?」

  • ・「共用電気を勝手に使っているのでは?」

EV普及に合わせて、
マンションのルールも動いています。

2024年の国交省「マンション標準管理規約」の改正では、
EV充電設備の設置についての決議要件が緩和され、
過半数の賛成で設置可能にする方向が示されています。
国土交通省+2WeCharge+2

国・自治体も
「新築集合住宅には積極的なEV充電設備設置を」と
業界団体に通知を出しており、経済産業省
“EV充電=今後当たり前のインフラ”という扱いになりつつあります。

対応のポイント

  1. 1.「誰のための、どんな設備か」を最初に決める

  • ・全戸共用の設備として整備するのか

  • ・希望者だけの“利用者負担型”にするのか

  • ・来客用・カーシェア用を併設するのか

ここを曖昧にしたまま話を進めると、
「EVに乗らない人の不公平感」が爆発します。

  1. 2.費用と利用料のルールを数字で示す

  • ・設置費用の分担(全戸か、利用者だけか)

  • ・電気代+ランニングコストをどう回収するか

  • ・外部への開放有無(外部にも貸すなら、税務も考慮)国土交通省+1

「何となく便利そうだから」ではなく、

 「1台あたり月○○円の利用料で、
 ○年で初期費用を回収できる」

など、
簡単な事業計画レベルまで落とし込んで説明すると、
反対派も冷静に判断しやすくなります。

  1. 3.将来のEV比率をざっくり想定しておく

国の政策や自動車メーカーの方針を見ると、
2030〜2040年代にかけて、
ガソリン車からEV/PHVへのシフトは確実に進みます。経済産業省+1

  • ・「いまは数台でも、10年後にはかなりの割合になるかもしれない」

  • ・「そのとき、充電設備がないマンションの資産価値はどうなるか?」

ここまで含めて説明できると、

 「今の公平」だけでなく、
 「将来の資産価値」の話としても議論しやすくなります。


共通のカギは、「規約と細則をアップデートすること」

民泊・ペット・騒音・EV充電――
どれもテーマは違いますが、
結局ポイントは同じです。

1. 「昭和〜平成の規約」を、令和の現実に合わせる

国や自治体も、
標準管理規約の改正や見直しを呼びかけています。神奈川県公式サイト+2国土交通省+2

  • ・民泊の可否を明確化

  • ・ペット・騒音ルールの具体化

  • ・EV充電設備の位置付けと決議要件

  • ・高齢化・所在不明区分所有者への対応

「昔作ったまま」の管理規約では、
新しいトラブルに太刀打ちできません。

2. 「条文」だけでなく「運用マニュアル」を作る

  • ・相談窓口(誰に/どう連絡するか)

  • ・対応のステップ(口頭→書面→内容証明→法的手段)

  • ・記録の残し方(議事録・メール・写真など)

ここまでセットで“運用の型”を作っておくと、
理事が変わってもブレにくいです。

3. 個人同士で直接ぶつからない仕組み

「隣の人に注意する」構図を減らすために、

  • ・まず管理会社・理事会が受け皿になる

  • ・匿名でも相談できるルートを用意する

  • ・必要なときだけ、理事会が間に入って調整

“正しいことを言った人”が孤立しない仕組みを作ることが、
マンション全体の空気を守ります。


いま、日常トラブルに疲れているあなたへ

もしこの記事を読んでいるあなたが、

  • ・上階の騒音に、ずっと我慢している人

  • ・ペットや民泊をめぐるトラブルの板挟みになっている理事

  • ・EV充電を入れたいのに、理事会にどう話せばいいか分からない居住者

だとしたら、
かなり消耗していると思います。

でも、ここはハッキリ言っておきたい。

 あなたの悩みは、「小さなわがまま」なんかじゃない。
 マンションの“これから10〜20年”を左右する、
 ど真ん中のテーマです。

  • ・一度、管理規約と細則を開いてみる

  • ・理事会に「見直しのきっかけ」として、この記事レベルの論点を投げてみる

  • ・「誰が悪いか」ではなく、「どういうルールに変えたらみんなが動きやすいか」で話す

その一歩だけでも、
マンションの空気は変わり始めます。


これで、

1〜6までのマンション問題を
ざっと一周しました。

もしあなたのまわりにも、
同じように悩んでいる人がいたら、
このシリーズのどこか一つでも、
そっとシェアしてあげてください。

「マンションの問題」は、
一人が気づいて、一人が声をあげた瞬間からしか、
絶対に動きません。

その「一人」になってしまったあなたを、
この記事たちが少しでも後押しできたらうれしいです。

査定入口
店舗紹介
投資オーナー様
住宅ローンシミュレーション
相場を調べる
不動産用語集
ベルアールブログ
会社情報

有限会社ベルアール

久喜店

〒346-0012
埼玉県久喜市栗原4-1-27
TEL:0480-23-8244
FAX:0480-21-6304
お問い合わせはこちら

宅建免許番号:埼玉県知事(6)18203