こんにちは、ベルアールの鈴木です。
今日は少し不動産の話から離れて、最近話題になっている日米間の「5,500億ドル投資パッケージ」について書きます。
これ、不動産業や地域経済にも長期的に影響しかねない話なんです。
■ 5,500億ドルは「現金プレゼント」じゃない
ニュースの見出しだけを見ると、「日本が80兆円もアメリカに渡すのか?」と思われるかもしれません。
しかし実態は一括現金支出ではなく、融資や保証の枠組みです。主な中身は次の通りです。
1. 融資・ローン枠(全体の約5〜6割)
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日本政策投資銀行(JBIC)が米国内の半導体工場、エネルギー施設、製造ラインなどに貸し付け。
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財源は財政投融資特別会計(財投)や政府保証付きの財投債発行。
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利息・元本の返済を前提とするが、返済不能時には国費で穴埋めされるリスク。
2. 保証枠(約3〜4割)
3. 民間直接投資・共同ファンド(数%)
つまりこの80兆円は、複数年にわたる貸付・保証枠の合計であり、貸付先や保証案件は事前にほぼ非公開。
不動産で例えるなら、「買主も物件も決まっていないのに融資枠だけを先に決める」ようなものです。
■ 5,500億ドル以外に日本が約束した主な条件
今回の合意はパッケージだけではありません。他にも次のような約束が含まれています。
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米国製航空機の大量購入
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防衛装備の追加購入
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農産品・食品の輸入拡大
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エネルギー契約
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関税・規制面での譲歩
■ 特別会計の怖さとブラックボックス
こうした資金は特別会計という別枠の財布を経由します。
財源は国債や財投債、保険料、貸付回収金などで、一般会計とは別管理。
しかし損失が出れば、一般会計(=税金)から繰り入れで穴埋めされます。
そして特別会計は国民から見えにくい構造です。
■ 不動産業の立場から見える影響
私のように地元で不動産業を営む立場からすると、こういう構造は長期的に地域経済にも影響します。
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海外への恒常的な資金流出は経常収支を悪化させ、円安や物価高を招く可能性。
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円安や資材高は建築コストやローン金利上昇につながり、住宅取得環境を悪化させる。
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税金での補填が増えれば、固定資産税や消費税増税圧力になる。
■ 私たちが知っておくべきこと
今回一番強調したいのは、
「最終的なリスクは私たち国民が負い、途中の資金の使い道はブラックボックス化している」
という事実です。
不動産の世界では、お客様に契約内容や資金の流れを必ず説明します。
しかし国際交渉になると、その「説明と同意」がほぼないまま巨額の資金が動いてしまう。
これでは本当の意味での「国民の意思反映」とは言えません。
■ これから必要なこと
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特別会計や政府系機関の資金の流れを透明化する
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損失発生時の責任と補填ルールを明確化する
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国民や国会が事前に内容をチェックできる制度を作る
どこかにやってくれる政治家いませんか?
国も、地域の不動産取引と同じように、私たちのお金を誠実に扱ってほしいと思います。
それが、安心して家を持ち、暮らしを守れる社会の土台です。
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