水のゆくえ ① ―― 水で戦争は起きるのか
久喜で小さな不動産屋を30年やってる、ただのおじさんのブログです。 このところ、私は「水」のことばかり考えている。あんまり長くなったので、3日に分けて書くことにした。今日はその1日目。 きっかけは、本当に些細なことの積み重ねだった。地元で「水が足りなくなる」と騒ぎになる。お隣の幸手市が水道料金を上げる。ニュースでは、アメリカの畑が地下水の枯渇でもう作れないとか、川を持たないアフリカの国が海水から水を作っているとか流れてくる。そんなのを眺めているうちに、私はふと、物騒なことを考えてしまった。 将来、水が原因で戦争が起きるんじゃないか。 それは素人の妄想ではなかった調べてみて分かったのは、これは決して私だけの妄想じゃなくて、真剣な安全保障の専門家が同じことを言っている、ということだった。ただ、私が頭に描いていた「二つの国の軍隊が、川を奪い合って撃ち合う」という絵は、少し違うらしい。 歴史を振り返ると、川を共有する国同士は、実は戦争より協力を選んできた。国境をまたぐ水をめぐって、これまで3,600を超える協定が結ばれている。今のところ、水そのものを直接の理由にした本格的な国家間戦争は、起きていない。「水戦争」という言葉のセンセーショナルな響きとは裏腹に、その予言はまだ現実になっていないのだ。 でも、水がらみの「紛争」は増えている安心するのは早い。水そのものを理由にした戦争は起きていなくても、水がらみの「紛争」自体は、はっきり増えている。水関連の衝突は2023年に約350件と、前年から5割も増えた。 中身は主に二つのパターンだ。一つは「別の理由で始まった戦争で、浄水場やパイプラインが標的にされる」パターン。ウクライナやガザで、水のインフラが兵器にされ、犠牲になっている。もう一つは「水不足そのものが、国内の暴動や不安定を招く」パターン。イランやソマリアのように、干ばつと水不足が社会を揺さぶる。 国家間で一番きな臭かったのは、2025年、インドがパキスタンへの水の流れを制限し、パキスタンが「戦争行為になりうる」と反発した件だった。世界資源研究所は、インド・エジプト・イラン・パキスタンなど30カ国を、水紛争の極めて高いリスク国に挙げている。 つまり水は、「二つの軍隊が川で撃ち合う」んじゃなく、「引き金にも、兵器にも、国内崩壊の種にもなる」——もっと静かで、もっと厄介な形で、世界の火種になりつつある。私の物騒な直感は、残念ながら方向としては当たっていた。 問題は「無くなる」ことじゃないでは、地球から水が無くなってしまうのか、というと、そうではない。水は循環して戻ってくる。本当の問題は量そのものじゃなく、「どこに・いつ・きれいな状態で・どれだけのエネルギーをかけて」水を届けられるか、という分配とタイミングと水質とエネルギーの問題なんだ。そしてその全部の軸で、状況は静かにきつくなっている。 真水の需要は2030年までに供給を約40%上回る見込みで、世界人口の約半分が、すでに年の一部で深刻な水不足に直面している。そして忘れてはいけない数字がある。世界では今も、20億人以上が、安全に管理された飲み水を確保できていない。 要するに、水は「タダの資源」から「戦略資源」へと、静かに姿を変えつつある。石油や土地の代わりに、これからは水が国を動かす。そう考えると、幸手の水道料金の値上げも、アメリカの畑の乾きも、全部が地続きの話に見えてくる。 さて。水がそれほど貴いものになったのなら、次に気になるのは二つのことだ。その水を、誰が作っているのか。そして、誰が静かに飲み干しているのか。 明日は、そこを掘っていく。 参考にした話(気になった人向け)
※ 数字や時期は執筆時点(2026年7月)のもの。この分野は動きが速いので、そのうち変わるかもしれません。 |








